2011年6月7日火曜日

Young Investigators’ Forum on Culture Technology 2011 遊びで社会問題を解決せよ!(後編)









いままで韓国には一度行ったことがあったが,
それは9月であったため非常に暑い印象しかなかった.
しかし,今回はその正反対だ.寒い.寒すぎる.
氷点下は当たり前.トップ画像のように雪が猛烈に降っていたのだ.

さて,ワークショップの話しに戻るとする.
今回はあらかじめ主催者側が参加者の専攻・国籍・男女比を考慮した
1組5人の全5チームに分けられた.私たちのチームの5名は,
ソウル近郊の大学2名(3Dデザイン、マーケティング)
KAIST(カルチャーテクノロジー)
RCA(工業デザイン)
i.school(技術経営)
男女比4:1の構成だった.

なんと私のチームでは私以外は全員韓国人!!!
ただみな英語が堪能で,あまりできなかった一人も,
他の英語ができる韓国人が通訳をしてくれるなど
チーム内でのコミュニケーションは問題なくとることができた.

各チームは最初にアイスブレイキングとして,チーム名を考える時間が与えられた.
私たちはチームを”Nori-Nori”と命名した.
「遊び」が今回のテーマということで,遊びは韓国語で”Nori”という言うらしく,
それを重ねることで遊んでいるときの気分を日本語で表す「ノリノリ」からだ(笑)

それからはその夜までと2日目の午後とさらに最終日である3日目の昼までは,
各チームでのグループワークになった.
その他,2日目の朝にレクチャー,夕方には中間発表として,
各チームから現状の報告をとそれに対するメンターのフィードバックがあった.

このように思考プロセスの紹介や思考フェーズなどを設けていなかったため,
各チームはどのように思考プロセスを進めればよいのか困惑する様子も目立った.
そこはファシリテーターがフレームワークを紹介しながら,
全チームが一緒に進めるi.schoolのワークショップとはかなり違った.

一方で泊まる部屋も基本はチームメイト同士だった今回のワークショップは,
韓国人が非常に熱心だったこともあり,
夜にホテルに戻ってからも熱い議論が朝近くまで当たり前のように続いた.

みな真剣だからこそ熱くなってしまう状況が多かったため,
いかにチームの中でコンセンサスをとりながら,
グループワークをするかが鍵となったと私は感じた.
今回はチーム内の唯一の日本人だった私は,
i.schoolで学んだフレームワークや思考プロセスを提供しながら,
チーム内のファシリテーターを買って出た.
さて,最終発表では私たちのチームは,
「Nori-Nori Crayon」というものを提案した.
まず問題の背景として,
アフリカでマラリアの元凶である蚊を防止するネットだけでは, 
十分に子供の安全を満たすことができないことがあることに着目した.

また,私たちは小さいころ幼稚園でよくもの描いていたという共通点から,
アフリカの子供も「描きたい」という「遊び」に対する
欲求をもっているのではないかということを考えた.

そこで蚊を寄らなくさせる揮発性のクレイオンを首輪上にしたものを提案した.
この商品をつかって,地面や壁などに描き,
そして首からかけることで常時これを身につけ蚊から身を守るのである.
他のチームでは,
「ボールを蹴る遊びにより発電する街頭」,
「通勤電車の空きスペースへ誘導してくれるシステム」,
「芸能人が仮想現実で部屋に遊びにくることを動機に部屋を片付けるシステム」,
「発展途上における発電型信号機」などなど.
どれも切り口が違い,斬新なアイディアが多く発表された.

最終発表後、メンターを務めてくださった方による
全チームへのフィードバックと優秀賞の発表があった.
全体の講評としては,
まだAppropriate Technologyを考えていく上で考慮すべき4Aのポイント
Adoption, Appropriation, Affordability, Aspiration
に対する考えが甘いことが指摘された.
特にユーザーはそれを使いたいのかに対する考察がまだ足りないということ.
またそれが費用面・流通面でどれくらい実現可能かの推定も
考えてもらいたかったということであった.

私たちのチームに対しての講評は,
本当に現地にそういった問題・ニーズが存在するのか確認する必要はあるが,
自分たちも過去に共通してもっていた「描く」という遊びを取り入れたのは,
非常にわかりやすく評価できるということだった.
また既存のクレオンの値段や蚊を防止するネットのコストを参考にして,
今回提案したプロダクトのコストを推定したのも非常によかったということだ.

以上のことから優秀賞には,
我がチームの「Nori-Nori Crayon」が入賞したのだった!!
それはチームメンバー全員が喜びを分かち合った瞬間だった!

最後に今回感じたことを総括編で書き記したいと思う.


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