2011年5月24日火曜日

東大生は未来洞察シナリオをスキットで演じた.第1回i.schoolワークショップ⑨


いよいよ4日間取り組んできた未来洞察フレームワークにより作成した,
未来洞察シナリオを全体に発表するときがきた.

集大成となる最終発表だが,その方法は普段大学で行う発表とは違う.
なにが違うかというと,パワポ資料を使わずに,スキット(寸劇)で行うのだ.

スキットでは,チームのメンバーはなんらかの役割を演じることになり.
そして日本の農業の未来の状況を演じてもらう.
ただしいきなりスキットには入るわけではない.
それでは観客は設定が全くわからず,スキットをやっている意味がない.
事前に準備した模造紙や小道具などを使い説明を取り入れるのだ.

私たちのチームでは,以下の模造紙と小道具を作成した.
・模造紙
題名,登場人物,スキットをするシナリオアウトライン
ビジネスモデル,プレイヤーの利害関係
・小道具
役割プレート,NOTO6クジなどなど

さて,そもそもなぜスキット(寸劇)で発表を行うのか?
観客を楽しませるため?日常と変わったことがしたいため?
そんなことでは決してない.

スキットでは必ずしも面白い劇を演じる必要はない.

ここからなぜスキットをやる必要性があるのかを,
「観客」と「発表者」の2つの視点で説明しよう.

・観客の視点
今回みたいな未来洞察シナリオではプロダクトをデザインするのではなく,
日本の農業の未来のストーリーを発表するため,
スキットとして演じた方がより観ている方もストーリーのイメージが湧きやすい.
イメージが湧かないアイデアは,ユーザーには受け入れられにくい.
つまり,イノベーションにはなりにくいということだ.

・発表者の視点
発表者はスキットをすることで,ユーザーの視点になることができるのだ.
つまり,スキットの練習している際に少しでも違和感を感じた場合,
そのアイディアが市場に出た際にユーザーに受け入れられる可能性は低い.
そしてユーザーに受け入れられないものにイノベーションは起きない.

このようにスキットを行うことで,
そのアイデアがユーザーに受け入れられるかどうか・
イノベーションが起きるかどうかの試行錯誤(テスト)をするのである.

そう,スキットはいわばプロトタイピングなのだ.
そして,デザインファームIDEOについて紹介する「発想する会社!」においても,
プロトタイピングを作成してこまめに試行錯誤する重要性について言及されている.

一方でスキットにも弱点がある.
以下に今回のスキットを反省点を踏まえて気をつけるべき2点を紹介する.

①スキット(寸劇)はシンプル・イズ・ベスト!
今回のチームでもいくつかあったのが,
スキットに熱中し過ぎたり,面白さを狙うがあまり,
結局なにを伝えたいのかわからないということだ.
多少の脱線は良いとしても,
あまりに関係のないことをスキットに入れてしまうと返って,
なにを伝えたいのかわからなくなってしまう.長過ぎるのも同様だ.
やはりシンプルなスキットが一番,
観客も演じている側も理解しやすいし,イメージしやすいのだ.

②スキット「だけ」で他を「おまけ」にしない!
スキットも重要ではあるが,いきなりスキットに入っては観客は混乱する.
シナリオの設定,登場人物の設定,ビジネスモデルなどの根本となるものは,
模造紙にわかりやすく書くなどして,
スキットを始める前に時間を割いてしっかり説明すべきである.
そして質疑応答用の際にも,観客に見せた方が質問も受けやすい.
さらに,スキットだけだと発表が終わったあと再現することができないので,
こうしたアイデアの根本となる説明は紙媒体で残したほうがいい.

以上でスキット(寸劇)の紹介は終わりだ.
私たちのチームも,
「NOTO6という農業を題材にした競馬のようなギャンブルに
節電などパチンコが衰退し行き場のなくなった畜生が飛びつく」
という未来洞察シナリオをスキットで演じた.

10年後に本当にこのような未来になっているかと聞かれると,
たしかにツッコミどころが多いと思う.
また,アイデア自体に賛否両論もある話かもしれない...

ただ自分たちのなかでは,
スポーツや競馬に社会で注目があたるプレイヤーがいるのと同様に,
農家に対しても,同様な注目があたるプレイヤーがいてもいいと思う気持ちだ.
そして,それをみんながWin-winで成し遂げることができる.

上記を達成していると同時に,
今回の農業における強い先入観にとらわれずに
「農業とギャンブル」という意外な掛け合わせをアイデアとして出せたのは,
いままでの自分では絶対に出ない発想だったので,
個人的にはかなり面白いし,興味深いと思っている.

最後に未来洞察シナリオをイノベーションにどう活かすかをまとめたいと思う.



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