2011年4月14日木曜日

「枯れた技術の水平思考」 枯れた技術にイノベーションを起こすヒントがある


「イノベーションを起こすのに最新技術は必要か?」
いいえ.そんなことはない.

たしかにいままではイノベーションは”最新”技術によって起きていた事例もあった.
しかし,今後期待されるのは必ずしも”最新”技術を用いたイノベーションではない.

既存の技術を使ってイノベーションは起こせる.
あまり世の中で使われてしまわれなくなってしまった技術(枯れた技)でも,
使い方を変えればよみがえらせることができる.

それを教えてくれた企業こそ,再び登場する任天堂だ.

任天堂はこの枯れた技術を現代によみがえらせることを
「枯れた技術の水平思考」と呼んでいる.

再び「任天堂”驚き”を生む方程式」(井上理著)では,
この「枯れた技術の水平思考」をこのように紹介されている.

『「本来、娯楽って枯れた技術を上手に使って人が驚けばいいわけです。
別に最先端かどうかが問題ではなくて、人が驚くかどうかが問題なのだから」』

任天堂は,やはり「人」が驚くかどうかに着目していた.
技術はそれを可能とする手段であり,目的にはならない.

つまり最先端の技術ばかりを重要視,先行して考えていると,
イノベーションが起きるために大切な「人間中心」というものを見過ごしてしまうかもしれない.

また,イノベーションが起きるための一つの障壁に「価格」というものがある.
現代の最新技術は昔と比較し格段と複雑化し,
開発コストの桁も変わった場合もあるくらいだ.

例えばゲームソフトの開発.最新のゲーム機のソフトと作成する場合,
高度なコンピュータグラフィックス,美しい音楽,無数にも存在するバグ.
ゲームによってはその開発コストは映画一本に匹敵するとまで言われる.

しかし,ユーザは昔以上にお金を払うかというと必ずしもそうではない.
むしろより価格の低下を望んでいる場合が多い.

いくらその開発されたものがユーザにとって魅力的であるものであっても,
値段が見合っていないと,より多くのユーザに行き渡らない可能性がある.
そして,イノベーションが起きない.

例えばPS3は夢の機械をまで言われた.
欲しかった人も多いはずだ.しかし,値段が高すぎた.
あまりにも高過ぎて,それほどの価値があるのか検討すらしない人もいたのではないだろうか.

こういった例は過去に多くある.

しかし,枯れた技術を用いて開発を行えば,
価格は安く抑えることができる可能性が高い.
つまり簡単に価格という障壁を乗り越えることができるのが.

任天堂が世の中に送り出したゲーム機Wiiは,
実は多くのかれた技術の水平思考が用いられているという.

Wiiはあえて一世代前の描画性能を搭載している.
しかし,Wiiは世界中で大ヒット.イノベーションを巻き起こした.

既存の技術を使ってイノベーションは起こせるということ.
技術に頼らず,再び人間に着目し,なにが必要が理解しようとする.
そしてその人が必要としているものを実現する際に,枯れた技術を利用する.

枯れた技術を使用することを考慮すれば,技術に頼り過ぎている習慣を打破し,
人間中心へ再び立ち返ることができるようになるかもしれない.

任天堂の「枯れた技術の水平思考」から,
私たちはイノベーションを起こすための大きなヒントが得られるのではないだろうか.

参考文献
任天堂 “驚き”を生む方程式 [単行本] 井上 理 (著) 2009年

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